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前編は見取り図でした。後編は入れどころです。
30分、早く着く
小林医師は、外出するとき、つねに30分の余裕を持った行動を心がけていると書いています。
理由は、忘れ物やアクシデントを補うためだけではありません。時間に追われた行動をしていると、交感神経が上がった状態のまま副交感神経が下がりっぱなしになるからです。
何事もなく30分早く目的地に着いたら、その時間でお茶を飲んだり、仕事の資料を見直したりすればよい。その心の余裕が自律神経を安定させ、集中力も高まる、と書かれています。
本書には、忘れ物を防ぐ工夫も出てきます。小林医師は玄関に「サケトカメ」と紙を貼っています。財布、携帯電話、時計、鍵、名刺の頭文字です。
朝食には、3つの役割があります
1つめが、朝に低くなりがちな副交感神経を上げること。
2つめが血流です。ものを食べると吸収の過程で肝臓が働き、肝臓に多くの血液が流れます。その血液が全身にめぐることで、体じゅうの血流がよくなります。
3つめが余裕です。どんなに簡単な食事でも、食べるとなれば人は食卓に着きます。慌ただしい朝に、ほんの15分でも落ち着いて座る時間が生まれる。
朝のタイミングで副交感神経を上げられるかどうかで、その日一日の過ごし方が変わってくる。だから朝食を抜くのは、せっかくの機会を逃すことになる、というのが本書の言い方です。
運動は、朝ではなく夜です
小林医師がすすめているのは夜です。夕食後から、寝る1時間前まで。30分から1時間、ゆっくり歩くのが理想だと書かれています。
速さも具体的です。小林医師ご自身は、2キロの距離を30分のペースで歩いています。成人男性としてはかなりゆっくりだ、と添えられています。心拍数が上がって呼吸が荒くなるほどの運動は逆効果です。
朝を外す理由も書かれています。朝は一日のなかで脳がもっとも冴えている時間帯で、硬く動きにくい体を無理に動かすより、頭を使うべき時間帯だ、と。
夜に歩いて疲れないのか、という点にも答えが置かれています。デスクワークの方が退社時に感じている肉体疲労は、長時間座っていることで筋肉が硬直し、うっ血していることから来ている。だから夜に軽く歩くと血流がよくなり、かえって疲れがとれる。夜に運動したほうが眠りの質がよくなるという実験結果も出ている、と書かれています。
準備運動は、4つで足ります
本書が挙げている準備運動は4つです。肘を固定して手首を回す、反対側の膝の上で足首を回す、といった、関節の根元を動かすための動きです。
足を前後左右に広げる運動は筋肉が伸びるだけで関節そのものは動かない。根元を固定して末端を動かし、その動きを伝えるほうがよい、というのが理由です。
プロの運動選手には全部で最低10分間、一般の方なら各1分強ずつ、全部で5分でじゅうぶんだ、とされています。
呼吸は、一瞬で体を変えます
本書でいちばん具体的なのが、この節です。
末梢血管の血流量を数字で測れる機械が使えるようになりました。小林医師が導入してもっとも驚いたのは、呼吸を止めた瞬間に末梢血管へ血液が流れにくくなることだったと書いています。見事にサーッと血流が引いていく、と。
回数も出ています。心に余裕があるときの呼吸は1分間に15回から20回程度。あせったり緊張したりすると、1分間に20回以上にまで増えます。
ゆっくりとした深い呼吸は副交感神経を刺激するので、血管が開き、末梢まで血流がよくなる。血流がよくなると筋肉がゆるむので、体はリラックスする。緊張したときに深呼吸をすると心が落ち着くのは、この血流の変化によるものだ、というのが本書の説明です。
そして、現段階で自律神経を確実にコントロールできるのは呼吸だ、と書かれています。
前編と後編を通して
血流をコントロールしているのは自律神経で、その自律神経を今この場で動かせるのは呼吸だけ。本書の「ゆっくり」は、精神論ではなく、この順番の話でした。
書籍情報
小林弘幸『なぜ、「これ」は健康にいいのか? 副交感神経が人生の質を決める』サンマーク出版
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